クラシック名盤本 紹介 -平林直哉と百田尚樹


2014.2.18

世の中には、たくさんのクラシック音楽CDの推薦名盤を記述した本、「クラシック名盤本」が存在します。
しかし、どれも音楽之友社「レコード芸術」の名盤として一定の評価がされたようなものが多く掲載されていることに若干不満を感じていました。
最近、ちょっと異質の2冊に出会いましたので紹介します。

平林直哉「盤鬼、クラシック100盤勝負!」 2006年 青弓社刊

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盤鬼、クラシック100盤勝負! SACD50選付き

平林さんは、休刊となった季刊「クラシックプレス」の編集長として活躍なさった方で音楽評論家とのことです。近刊は「フルトヴェングラーを追って」で2014年1月に発売されました。

先ず、このクラシック名盤本は選曲がユニークです。
各盤の説明は短めですが、CDが100盤とSACDが50盤、新しい演奏も数多く掲載されています。
いろいろな分野で様々な視点から選曲されており、順不同ではありますが、「屈指の傑作」や「著しく濃厚」など単刀直入な各タイトルとその切り口で楽しんで読めます。
また、選曲された盤には、日本の作曲家や演奏家も多く含まれていて、親しみを感じます。
各盤の説明の他に、コラム欄も充実しており、オーディオへの興味からの記述も追加されていて、ご自身の仕事としてLP復刻やフルトヴェングラー関連など、興味深い内容です。

特に、SACD盤のコメントは、最近の演奏家に対するものとして直感的な分かりやすいもので貴重な記事と考えます。(旧録音のリマスター盤もありますが)

ここで、聴いてみたくなるような盤を以下に紹介します。

CD 40盤 「奇想天外なライヴ」
ギトリス&アルゲリッチ ベートーベン:バイオリンソナタ第9番”クロイツェル”/フランク:バイオリン・ソナタ

CD 87盤 「レクイエムのように暗い」
ケーゲル/NHK交響楽団 シューベルト:交響曲第8番”未完成”/シューマン:交響曲第4番

SACD 19盤 「きりりと引き締まる」
ウィスペルウェイ&ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー サン・サーンス:チェロ協奏曲第1番/チャイコフスキー: アンダンテ・カンタービレ Op.1他

 

百田尚樹「至高の音楽」 2013年 PHP研究所刊

一方、映画「永遠の0(ゼロ)」の作者やNHK経営委員として何かと話題の百田尚樹さんの「至福の音楽」という本を新聞広告で知りまして、早速拝読させていただきました。
百田さんは、ご存知の通り、、2013年「海賊と呼ばれた男」で本屋大賞を受賞され、デビュー作「永遠の0」以降、たくさんのベストセラー本の著者として有名です。

ここではクラシックの26曲の名曲が、その作曲家や時代背景の逸話とともに紹介されており、各曲の最後にはいくつかの推薦CDが簡単に紹介されています。ただ、百田さん的には、この推薦盤にこだわらず、様々な個性の演奏が聴く人ごとに楽しめれば良いとのことです。
紹介されているエピソードについては、クラシック音楽ファンにとっては、よく聞く話ではありますが、大変整理されているように思います。
バッハの「平均律クラヴィーア曲集」では、いきなり「ポリフォニー」と「ホモフォニー」(一般的にはモノフォニー?)の話や、「純正律」と「平均律」の話など興味深い話です。

残念なのは、推薦盤が大艦巨砲主義的時代の少し古いところばかりです。
最近の指揮者やピアニストなどの演奏は、傾向が異なってきているので、このあたりから考えると、現在の一般的なクラシック音楽入門者にはもの足りないところがあります。
他のクラシック名盤本と比べると、百田さんの作品それぞれとクラシックの名曲のつながりが記載されており、エピソードにも幅があるので、興味深いことは間違いありません。
付録としてダイジェスト版CDがついていますが、これは全く不要なのでその分定価を下げてもらいたいところです。

ここでの推薦盤をいくつか紹介しておきます。

第2曲 「完璧な音楽」
グルダ バッハ:平均律クラヴィーア曲集

第23曲 「『職人』が自分のためにつくった曲」
ハスキル&マルケヴィッチ/コンセール・ラムルー管弦楽団 モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番

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